雪の日に訪れたWalden湖。水面が凍り、その上に
さらに雪が降り積もり、木の音も水の音も全て、
見渡す限りの白に吸い込まれて、見知らぬ世界に
迷い込んだようでした。
恐る恐る凍った湖面を一歩ずつ。
池澤夏樹さんの小説、「スティル・ライフ」の中に、
大好きな一節があるのです。
『雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、
ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇って
いっているのだ。静かに、滑らかに、着実に、
世界は上昇を続けていた。』
年が明けてから、ボストン界隈の行きたい場所リスト
を作り、週末ごとに足を伸ばしていたのでした。
その筆頭だったWalden湖、特別な時間になりました。
来週ボストンを発ち、日本に完全帰国します。
ボストンに住んでほぼ丸6年。思い出の詰まった
大切な、大切な場所が、またひとつ増えました。
楽譜を抱えて音楽院や家の近くのカフェで多くの
時間を過ごした初めの3年、息子が生まれベビーカー
を押して公園やライブラリーや芝生でたくさんの
時間を過ごしたこの3年 − ボストンという街と人の
魅力と優しさとに、様々に包まれる日々でした
ブログを始めたのは2007年の秋。その時はロンドンに
住んでいて、落ち葉の中を自宅まで歩きながら突然、
ブログを始めてみようと思ったのでした。日本に帰る
までの日々、近況のお便りを書かせて頂く様な気持ち
で始めたのですが、今もこうしてお読み下さる方達の
お顔を思い浮かべながら画面に向かっていて、それは
私にとってあたたかく大好きな時間でした。
遠くボストンのささやかな日々、そして息子の成長を
見守って下さり、ありがとうございました
最近の息子は、変わらず列車と、クリスマスに観た
くるみ割り人形のバレエ尽くしの毎日です。引っ越し
の荷物の上には長い列車が連なり、その横で音楽に
合わせてネズミや兵隊さんになって踊ったり、追い
かけっこが始まったり。そしてぐっすりの夜中に夫が
聞いた寝言は「ブッブー、バイバーイ」だったそうです♪
ロンドン、ボストンでお世話になった皆さま、
ブログを通して、近くに感じさせて下さっていた
皆さま、どうもありがとうございました
日本での新しい生活、新しく取り組みたい作品や
活動、お会いできるのが楽しみなたくさんの笑顔を
胸いっぱいに膨らませながら、窓の外に見える雪景色
を大切に心に刻みこんでいます。
感謝をこめて