お友達にイチオシして頂いた映画『Man on Wire』、
アメリカにきて初の映画館に出向き、見に行ってきました。
ある「事件」をもとにしたドキュメンタリー映画なのですが、
今思い返すと、ひとつの壮大なファンタジー映画を見てきた
ようです。
ワールドトレードセンターに1人の男と仲間たちが侵入し、
2つのタワーにワイヤーを張り、その上を歩いたという
30年前の事件。
Philippe Petit、フランスの大道芸人が、世界各地の高く
そびえる塔や橋にワイヤーを張り、綱渡りをするのです。
遥か下には、驚き集まる人々。ワイヤーの先には、
待ち構えながらも手も足もでない警察官たち。
それをものともせず、黒尽くめの服に金髪をなびかせて、
悠々とワイヤーの上に横たわっているPhilippe。
下から見る映像や写真は、ワイヤーが細すぎて目に見えず、
まるでPhilippeが空の上を歩いているかのように、
人の形をした幻のように見えてきます。
そして最大の夢、ワールドトレードセンターへ。
6年がかりで、まるで美しい完全犯罪のように仲間と
周到に準備をし、前日からビルにしのびこんで、
South TowerとNorth Towerの地上450mの屋上に
ワイヤーを張り・・
と書いていると、もう1度見に行きたくなってしまいます!
調べてみたら、残念ながら日本では公開の予定がないそう
なのですが、年末にはDVDが出るそうです。
もうすぐ60歳に届くPhilippeと仲間たちは、今も目を
きらきらと輝かせ、フランス語とも英語ともつかぬ言葉を
溢れさせて、あの日を思い起こします。
空の上で、細い細いワイヤーの上でぺこりとお辞儀をする
若かりしPhilippeのはにかんだ笑顔が、今に重なります。
マイケル・ナイマンの端正な音楽もぴったりで、
こんな夢のような夢、もうしばらく目覚めずにずっと
見続けていたい、そんなステキな映画でした。
明かりがついてふと我に返り、手にしたお約束の
コーラ&ポップコーンを改めて見て、その巨大さにびっくり。
Mサイズのコーラは1リットルはあったのでは・・
さすがアメリカです。