グラウンド・ゼロではたくさんの人が集い、歌い、
祈りを捧げていました。敷地をとりかこむフェンスには、
亡くなられた方々の名前が刻まれた国旗とお花が飾られ、
その中ではもう、新しいビルの建築が始まっていました。
言葉も見つからぬまま、そのあたりを少し散歩しました。
すぐそばのウォール街の教会の外庭にあった、巨木の根の
赤いオブジェ。爆風で倒されてしまった木の根をかたどった
ものだそうです。ワシントンスクエアの公園には焼け残った
大きな金色の地球儀が置かれ、殉職された消防士さんの
写真に寄りそうように、追悼の火が灯されています。
西日のなか、公園に面した海の向こうで松明をかかげる
自由の女神が、とても象徴的に目に映りました。
夜、街を歩いていてふと振り返ると、ずっと南、
ツインタワーがそびえていたはずの場所に、
2本の光の塔が高く高く空までのびていました。
倒壊後、フェンスに書き残されていた言葉を、
あとになって知りました。
We're all the same color
when you turn out the lights.
翌日も清々しい秋晴れになりました。
日本から取材にいらしていた出版社の方たちと合流し、
ミュージアムやSohoめぐりのおだやかな休日。
車が行き交う車道のまんなかで、踊るように
シャボン玉をまく女性、使い古されたドラム缶から
魔法のようにリズムを紡ぎだす男性・・街角のすみずみまで
ニューヨークらしいパワーが満ちていました。
グラウンド・ゼロには、ツインタワーを凌ぐ、
世界一となる高さの高層ビルが建てられるそうです。
1年に1度だけの、あの光の「しるし」がとどく世界中の空が、
これからずっと平和でありますように・・