ボストンから西へ車で2時間半。
初めてのマサチューセッツ州郊外です。
休日でも高速道路に車は少なく、木々が鮮やかに
秋色になっていました。
この日訪れたのは、Hancockにあるシェーカー村。
キリスト教の分派であるシェーカー教の教徒たちが
かつて暮らしていた村が、今も残っているのです。
村の入口。ハローウィンのカボチャも出迎えてくれます。
シェーカー教徒は厳格な規律のもと、共同体として共に
生活していたそうです。勤勉、質素、男女平等、財産共有、
純潔、独身主義、そして自給自足。自分たちの手で家を建て、
必要な家具をつくり、家畜を育て、畑を耕し、敬虔に生活
していた当時の精神が、今も部屋のすみずみまで満ちています。
信徒の暮らした部屋もそのまま残っています。床に映る窓枠の光の束が印象的でした。
ほうきを作る工房。部屋ごとにほうきとちりとりがあり、清潔な暮しぶりがうかがえます。
シェーカーに関する文献には均整、秩序、調和、実用性
という言葉がたびたび出てきます。なかでも印象深い
「美と善の合一」という言葉は、シェーカー家具として
名高い家具のシルエットの潔さに、これ以上ないくらいに
反映されていました。
靴の工房と洗濯室。Hands for work, Hearts for God(汝の手は仕事に、汝の心は神に)
台所と食堂の一室。
安藤忠雄の「光の教会」が、シェーカー教の木造教会にも
着想されたものであったこと、自然と戯れるような暮らしの風景が
美しく、図書館でよく写真集を手にとっていたターシャ・テューダが
シェーカー教徒と近しかったこと(今思い返せば、ターシャの服も
女性教徒の装いとよく似ています!)、嬉しい発見も多々ありました。
時代とともにシェーカー教そのものは衰退し、今は数名の信者と
数カ所のシェーカー村が残るのみとなったそうですが、
ものにも人にも自然にも誠実に生きつらぬいた村は、
眩しいくらいに静かで穏やかでした。
Hancock Shaker Village
ここも冬の間はお休みになるそうです。
雪景色もきれいだろうな。
帰りに買ったオーバルボックス。何を入れようか なかなか決まりません。